平成22年10月作成(毎月1個作成目標!!)
○お数珠について①
今回から、仏具の中で最もポピュラーと言ってもいい「お数珠」について説明していきます。
○お数珠とは何か
そもそもお数珠とは何かから説明していきます。
お数珠とは、まず漢字の通り「数の珠」、元々は「念誦」(日蓮宗ではお題目を唱えること。浄土宗などではお念仏を唱えること。)の数を数えるための道具でした。それから、一般的に普及し、御仏前で礼拝する(仏さまの前で手を合わせて拝む)ときに手に掛けられる「法具」となっていきました。
○珠の数
「法具」となっていったことは、珠の数からも分かります。一般に日蓮宗で用いられるお数珠は108個の珠が連なってできています。この数は、人間の持つ煩悩(人を惑わし悩ます欲望)の数です。お数珠には、この煩悩を消し去る功徳があるとされており、身を清める道具という意味で「清浄具(しょうじょうぐ)」とも呼ばれます。
元来、煩悩を消し去るために「念誦」し、その数を数えていたのがお数珠だったのですが、今では、お数珠その物に煩悩を消し去る、身を清める働きがあるとされています。
したがって、お数珠は、お経本などと同じように、粗末に扱ってはいけない「法具」なのです。地べたに直に置いたりしないように気を付けましょう。地べたに置くときなどは、お数珠入れや、せめてタオルやハンカチなどを敷いて置くようにしましょう。
108個の他にも54、27、42,36,21,18,14個等様々な数の数珠があります。それぞれ仏教に関わる数字に因んで作られています。しかし、その様々な数も元々は108という数字を基本に考えられていますので、日蓮宗では、108個のお数珠を持つように勧めています。
○お数珠の構成
ここからは、日蓮宗の数珠を基本に説明していきます。
まずは、下の写真をご覧下さい。
先ほど珠の数は108個と書きましたが、その数を基本として、お数珠はさらにそれ以外の意味を持ったいくつかの珠と合わせて作られています。
その代表的なのが、母珠(もしゅ)と四天珠(してんじゅ)です。
母珠とは、お数珠の両端にある大きな二つの珠のことで、2房出ている方は「天父」と呼ばれ「釈迦如来(お釈迦様)」を表されていると言われており、3房出ている方は「地母」と呼ばれ「多宝如来(お釈迦様のお説きになったことを褒め称えられた仏様)」を表されていると言われています。
四天珠とは、四天王(お釈迦様の教えとそれに帰依する人々を四方に分かれて守護する神様)を表す4個の珠です。四天王とは、持国天、増長天、広目天、多聞天(毘沙門天)のことで、左から順にそれぞれ東、南、西、北を守護されています。この四天王がお数珠の中に入っていますので、お数珠は私たちの御守りともなります。この4個の珠だけ、全体とは違う色の珠を使ったり、同じ色でも小さい珠を使ったりして、108個の珠とは区別できるようになっています(上の写真では見にくいので一番下の写真を参照して下さい)。
さらに、上で「2房(3房)出ている方は…」と説明しましたが、母珠2個からはそれぞれ、2本と3本の房が出ています。2本の方は一度、中程でまとめられています。3本の方には、同じ種類の2本と10個の珠が連なっている違う種類の1本とがあります。この1本は、日蓮宗独特で「数取珠」と呼ばれ、お題目をお唱えした数を数えるために用いられます。一周する(108+2+4=114回)ごとに、1個繰っていき10個繰ったら、約1000回のお題目をお唱えしたことになります。
母珠はどの宗派のお数珠にもありますので、日蓮宗のお数珠の特徴は、「四天珠」と「2本と3本の房」ということになります。お買い求めの際は、この特徴にしたがってお選び下さい。
○お数珠の種類
上の特徴があれば、日蓮宗のお数珠なのですが、さらに房の先に付いている物で2種類に分けられます。
上で見て頂いた写真のように「ぼんぼり」が付いている物を「勤行数珠(ごんぎょうじゅず)」と言います。こちらが、一般的に用いられる数珠で、檀信徒の方だけでなく、僧侶も普段はこちらを用います。
また、下の写真のように
「束になった紐」が付いている物を「装束数珠(しょうぞくじゅず)」と言います。こちらは、専ら僧侶が用います。厳粛な法要や葬儀などでは、特にこちらを用います。因みに、「装束数珠」の中でも、比較的大きな珠の無色の水晶のみで作られたお数珠を「本装束数珠」と呼び、
それ以外の「装束数珠」を「半装束数珠」と呼びます(ここまでは知らなくて結構です)。
○珠の種類
星月菩提樹などの木の実や、白檀や沈香といった木そのもの、水晶、真珠、象牙など様々な種類があります。色も大きさも様々ありますが、基本的にどのような種類の珠で出来たお数珠を使って頂いても構いません。ただし、これは珠の種類の話であって、「お数珠の構成」で述べた特徴は押さえたお数珠をお選び下さい。
下の写真は星月菩提樹です。
○まとめ
1.お数珠は「法具」ですので、丁寧に扱い、地べたに直に置いたりしないで下さい。
2.108個の珠の他に、4個の違う珠が入り、房が2本と3本であること。この特徴を持ったお数珠をお持ち下さい。
(注1)次回は、「お数珠について②」としまして「お数珠の持ち方」について説明していきます。
(注2)一応調べて書いておりますが、万一問題等ありましたら連絡して頂ければ幸いです。
※参考にさせていただいた本です。
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○日蓮宗について
○お坊さんの呼び方
○お線香のあげ方
○お数珠について①
○お数珠について②
○お数珠について③
○御札の祀り方
○金封(のし袋)について
○「祈り」について
○花の供養について
○お灯明について
○お経本のご紹介
○大立寺のお盆①
○大立寺のお盆②
○「お膳」について
○塔婆について
○木魚と木鉦
○お仏壇について①
○お仏壇について②
○お墓について①
○お墓について②
○布施について
○お経とは
○インド仏跡参拝紀行文(1)
○インド仏跡参拝紀行文(2)
○インド仏跡参拝紀行文(3)
○インド仏跡参拝紀行文(4)
○インド仏跡参拝紀行文(5)
○インド仏跡参拝紀行文(6)
○インド仏跡参拝紀行文(7)
○インド仏跡参拝紀行文(8)
○インド仏跡参拝紀行文(9)
○インド仏跡参拝の旅
まとめ動画
○東日本大震災第三回忌に臨んで(前編)
○東日本大震災第三回忌に臨んで(後編)
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〒607-8008 京都市山科区安朱東海道町56 詳しくはこちら