平成24年6月作成
○インド仏跡参拝紀行文(4)
インド全体図
■4日目(3月6日)後半
最後に、楽しいハプニングもありましたが、全ての予定を無事に終え、ラージギルを後にしました。
そして、まだまだ貧しい現地の暮らしから、
少し栄えている道路沿いの市場、
どこまで続くか分からないような広い麦畑を見ながら、
尼蓮禅河(にれんぜんが、ナイランジャナー川)も通り過ぎて、
ブッダガヤの街に入ったのは午後1時を回っていました。
4日目と5日目に宿泊するホテルはスジャータホテルといって、日蓮宗の中では非常に有名なお説教師であった三木随法上人と昔から深い繋がりのあるホテルでした。
このホテルにも御内仏が祀られており、到着後に読経させて頂きました。
昼食の後、まず向かったのはブッダガヤの洋服屋さんでした。
翌日から「ホーリー」という色水や色粉をかけ合うお祭りが始まるということだったので、その対策に汚れてもいい安い服を買うためでした。
「ホーリー」とは、ヒンドゥー教のお祭りで、年に一度だけ行われます。インド人の8割がヒンドゥー教徒ですので、インド全土で行われます。三月初めの満月の日に合わせているのか年によって日が違うとのことでした。この日はヒンドゥー教の神様がお休みになるそうで、カーストが無くなります。上下の身分差が無くなりますので、街はまさに無礼講状態です。一年間カーストに従ってきた人達にとって唯一発散できる日ですので、街は混沌とします。犯罪も増えるとのことでした。
日本のインド大使館の方まで仕事を休んで国に帰り、デリーなどの都会で暮らす人達もその日の前後に休みをとって田舎へ戻ります。行う内容は全く違いますが、日本のお正月のような感覚なのかなと思いました。
主に何をするかというと、宗教的な意味があるとは思いますが、鮮やかな色粉を溶かした水をかけ合ったり、絵の具のように少し溶かした色粉を顔から体から塗り合ったりします。
このお祭りはヒンドゥー教のお祭りですが、観光客も、違う宗教の人も関係なく国全体で行われますので、ふらふら外を歩いていると容赦なしにぶつけられてしまいます。それで持っているデジカメが壊れようが、洋服が色だらけになったり破られたりしようが、誰も保証してくれません。
それでインドの服を買いに行ったわけですが、ここも日本人用の価格なのかと思ってしまう程、いい値段がついていました。日本のデフレが異常なのかもしれませんが、わざわざインドで買わなくてもということで、私は結局買わず、予備に持っていった古いTシャツを潰すことにしました。
寄り道はそこそこにして、ついにブッダガヤの本命、大塔と菩提樹の参拝に向かいました。
途中、大きな牛に遭遇。そこかしこにのら牛はいましたが、この牛はだいぶ立派な体をしており、中に人が入っていて一緒にお参りにいこうとしているのかと思う程、私たちと同じ方向を人目も気にせずゆったりと目指していました。
「ブッダガヤ」とは「仏陀が来た」という意味で、お釈迦様は苦行を積まれた後、この地にやって来て、尼蓮禅河で沐浴し、菩提樹の下で瞑想に入り、そして悟りを開かれます。
この菩提樹を中心に、マハーボディー寺(大菩提寺)というインド仏教のお寺が作られています。
マハーボディー寺は、この菩提樹と、その前にそびえるブッダガヤのランドマークとも言える高さ52メートルの大きな石塔「大塔」と、ムチャリンダの池、たくさんの小さなストゥーパ(塔)から成っていました。
入口に着くと、まず靴を脱いで受付に預けました。ここも土足厳禁でした。夕方になっていましたが、地面がレンガのような作りでしたので、裸足の方には熱かったようです。
入場料は要らないのですが、カメラの持ち込みには20ルピー掛かりました。これは一日有効だということで、その日の内であれば何度出入りしても写真が撮れます。
マハーボディー寺に入っていくとまず大塔が目に入ります。
中はかなり狭くなっていましたが、ここには悟りを開かれた時のお釈迦様の像が祀られていて、多くの参拝者でごった返していました。
その裏手に回ると菩提樹が立っていました。まさにこの下でお釈迦様が悟りを開かれたのでした。
そのことに思いをはせて、お釈迦様の徳を讃え、恩に感謝するため、この場所でも参加者全員で法要させて頂きました。
ここは各国仏教徒全てにとっての聖地。私は、さぞかし厳粛な雰囲気で、大きな音は出せない所だと思っていたのですが、各国の方々がそれぞれの方法で、順番など関係なく、大塔を囲んで、声を出してお祈りをされていたので、意外にもかなりざわざわしていました。そのため、私たちも遠慮することなく、団扇太鼓を叩いて大きな声で読経・唱題をすることができました。
方法は違いますが、その場にいる皆が一心に「祈りを捧げている」その光景には感動しました。が、個人的には、「聖地」にはピンと空気が張り詰めたような厳粛な雰囲気も期待してしまいました。しかし、今になって思うと、この様子こそが他の宗教にはない、仏教の偉大さなのかもしれません。
菩提樹の下には、金剛宝座と呼ばれる大きな石と、仏足跡と呼ばれるお釈迦様の大きな足跡を模した石が置かれていました。
金剛宝座
仏足跡
金剛宝座とは、お釈迦様が悟りを開かれた時に座られていた場所に、お釈迦様が亡くなられた後仏教を外護されたアショーカ王によって置かれたとされている石です。
昔は、誰でもその場所に座れたそうですが、ある日本の新興宗教の教祖が座って引きずり降ろされるまでどかなかったという事件が起こって以来、柵が作られ近付くことも出来なくなってしまいました。日本人として、何とも恥ずかしい話です。
それからアショーカ王柱を見学しました。これは、お釈迦様への供養のためか理由ははっきり分かりませんが、アショーカ王がインド各地に建てた石柱の1つです。アショーカ王柱には一般的に装飾が施され文字が刻まれており、当時の仏教を知る上で重要な歴史的資料でもあるそうですが、このブッダガヤのアショーカ王柱だけは何も刻まれていないことから、一番初めに建てられたアショーカ王柱ではないかと云われているようです。
そこを通り過ぎると池がありました。その池の中央には、龍が上に覆いかぶさったお釈迦様の像が祀られていました。これは、ムチャリンダという龍王が、瞑想されているお釈迦様を大嵐から守ったというお話に基づいて作られたものでした。
が、本当はこの池でのお話ではなく、少し離れた別の場所でのお話ですという表記がありました(下の写真参照)。実にインドらしい…。
大塔をバックに記念撮影の後、自由時間になりました。
マハーボディー寺の入口辺りから、一人の見知らぬおじさんが私の後ろにずっと付いてきていました。見ると参加者の何人かの後ろにも同じような人が付いている。
ブッダガヤのお土産屋さんはひどくしつこいと行く前から聞いていたので、実は始まったなと思っていました。しかし、ラージギルのお土産屋さんとは少し様子が違いました。
全く売り物を持たず、日本語で親切に各場所の説明や足下の注意をしてくれました。話の途中で、「お寺の外で店をしているから後で寄ってね」とは言っていましたが、別に嫌だったら行かなかったらいいやと、とりあえず仲良くなってみました。
そのお陰で、自由時間は有意義なものになりました。インド人なのでウソか本当かは分かりませんでしたが、各場所や祀ってある物の説明を丁寧にしてくれました。
法輪(お釈迦様の教えを輪に喩えて、それを回すことで教えが弘まっていくことを示す物)が設置されていて皆回していくんだという話や、
お釈迦様は菩提樹の下だけで瞑想されていたのではなく、7日毎に場所を変えて瞑想されていたので、その場所ごとに小さなストゥーパが建てられているんだという話をしてくれました。
話をしていて、非常に強くチベット仏教、ダライラマの影響を受けていることが分かりました。インドが仏教の発祥地なのに、チベット仏教を逆輸入しているようで不思議な感じがしました。
ガイドを仕事にしたらいいのにと思いながら、ガイド代くらいは買い物をしてあげようと思い、明日お店に行くよと言って、潔くお別れしました。参拝後、皆でチャイを飲んでいるときも、バスに乗り込むときもずっと付いては来ていましたが(笑)
バスでホテルへ帰り、このホテルにもありました大浴場でのお風呂の後(三木上人との親交が厚かったことから日本人向けに作られたのだ思います。ここのお風呂の熱さはちょうど良かったです(笑))、晩ご飯を頂きました。
このスジャータホテルでは2泊することもあって、ホテルオーナーの計らいでラム酒をご馳走になりました。
ちょっとした宴会になりました。
オーナーは日本人の知り合いも多く、一応信頼のおけるホテルであること、旅も半ばになってきたことから洗濯を頼むことにしました。とはいえ、川の近くで石に叩きつけるようにして洗濯していた様子をバスから見ていた私は、やはりちゃんと洗われて返ってくるか不安だったので、一着だけにしておきました。
翌日、アイロンまでかけてもらって無事返ってきたのですが、同部屋のお上人の白い襦袢が少し緑になっていました…。たぶん私の作務衣が色落ちしたんだと思います。ということは、洗濯機で一緒に洗ったのかな…。そういえば、露天でひたすらアイロンをかけているおじさんも見かけました。なぜ外…?インドの洗濯事情はこんな感じです…(笑)
夕食後、午後8時過ぎに有志だけで夜の大塔に参拝しました。
ライトアップがされていて幻想的でした。昼間の喧騒(?)は少しおさまり、辺りも比較的落ち着いていました。
この落ち着いた雰囲気の中、あるお上人は瞑想され、
あるお上人は唱題されていました。
午後9時に門が閉まるということだったのですが、9時前にいきなり全ての明かりが消えてしまいました。ただの停電だったそうですが、驚きからかみな一斉に静まりかえり、月の明かりだけに照らされた大塔の雰囲気は、一瞬だけでしたが私の求めていた静かで厳粛なものになり、清々しい気持ちになりました。
9時になって集合場所に戻ると、1人だけまだ戻っておられませんでした。門が閉まって、閉じ込められそうになりましたが何とか開けてもらい皆で帰ることが出来ました。その際、添乗員さんから門番に袖の下があったとかなかったとか…。いかにも外国らしいお話です(笑)
この日もとても長い一日になりました。
テレビから流れるホーリーの宣伝に少しビクビクしながら、柔らかいベッドで横になりました。
>> 5日目へ続く >>
↑画像をクリックすると"インド"に関する書籍のリンクに飛びます。
○日蓮宗について
○お坊さんの呼び方
○お線香のあげ方
○お数珠について①
○お数珠について②
○お数珠について③
○御札の祀り方
○金封(のし袋)について
○「祈り」について
○花の供養について
○お灯明について
○お経本のご紹介
○大立寺のお盆①
○大立寺のお盆②
○「お膳」について
○塔婆について
○木魚と木鉦
○お仏壇について①
○お仏壇について②
○お墓について①
○お墓について②
○布施について
○お経とは
○インド仏跡参拝紀行文(1)
○インド仏跡参拝紀行文(2)
○インド仏跡参拝紀行文(3)
○インド仏跡参拝紀行文(4)
○インド仏跡参拝紀行文(5)
○インド仏跡参拝紀行文(6)
○インド仏跡参拝紀行文(7)
○インド仏跡参拝紀行文(8)
○インド仏跡参拝紀行文(9)
○インド仏跡参拝の旅
まとめ動画
○東日本大震災第三回忌に臨んで(前編)
○東日本大震災第三回忌に臨んで(後編)
長唱山大立寺(だいりゅうじ)
〒607-8008 京都市山科区安朱東海道町56 詳しくはこちら