平成23年度12月作成(毎月1個更新目標!!)
○お仏壇について①
■はじめに
最近では、核家族化が進み、家にお仏壇がないというお家も増えてきました。分家(長男家ではないお家)の場合は、自分の代が亡くなるまでは、お仏壇を作らないというのが一般的になっています。
後述しますが、お仏壇はあくまで「仏」壇であって、ご先祖様だけを祀る壇ではありませんので、是非一家に一つご用意して頂きたいと思っています。
今回のコラムでは、お家にお仏壇がある方にとっても、ない方にとっても、知っておいて頂きたいお仏壇についてのあれこれを、日蓮宗ではどうかということを中心に説明していきます。
なお、長くなりますので、今回と次回の2回に分けます。今回は主に「全般的なことについて」説明し、次回にお祀りの仕方など「具体的なことについて」説明します。
■お仏壇とは何か
その字の通り、「仏さまをお祀りする壇」が「仏壇」です。したがいまして、広義では、お寺の本堂で仏さまなどをお祀りしている壇(特に「須弥壇」(しゅみだん)といいます)も仏壇になります。しかし、現在では「仏壇」と言えば、ご家庭にあるもののことを指すようになっています。
この「仏壇」は、第一義的に「御本尊」「仏さま」をお祀りする場所であります。そして、それと共に、ご先祖様をお祀りする場所でもあります。ご先祖様をお祀りしていなくても、仏壇は「仏」壇です。したがって、「うちはまだ誰も亡くなっていないから祀る必要はない」ということにはなりません。
ご先祖様に供養し礼拝することは大切なことですが、まずもって、「御本尊」「仏さま」そして「日蓮聖人」に対して報恩感謝を伝える場所であると思って、お仏壇をご用意して頂きたいと思います。
「お仏壇」
=「御本尊」「仏さま」「日蓮聖人」と共に「ご先祖様」をお祀りし、供養し礼拝する壇、場所
言うまでもないことかもしれませんが、ご先祖様を大切にする理由は、「ご先祖様あっての私たちだから」と考えるのが分かりやすいと思います。
また、「仏さま」「日蓮聖人」に対して報恩感謝の気持ちをお伝えするのは、「私たちに、真の『仏の慈悲(救い)』と『仏の智慧(悟り)』を示して下さっているから」です。この「救い」や「悟り」の内容について、この理由の意味については、別コラムで説明していきたいと思います。
■お仏壇の種類
お仏壇には、大きく分けて、金仏壇・唐木(からき)仏壇・家具調仏壇の3種類あります。
金仏壇(下の写真参照)は、全体的に金箔が押され、螺鈿(らでん、きれいな貝殻)の細工などが施された絢爛豪華なお仏壇です。
唐木仏壇(下の写真参照)は、使用される木の材質を活かした、質素で重厚感のあるお仏壇です。
金仏壇と唐木仏壇には、「宮殿(くうでん)造り」という装飾が施されます。宮殿とは、お仏壇の最上段(ここを正式には、須弥壇といいます)の上方の空間をさし、ここに「御本尊」をお祀りします。この宮殿は、各宗派総本山のお寺の宮殿(本堂の、仏さまなどをお祀りし、私たちがお参りするところ)を模して作られます。
したがいまして、ここに宗派によるお仏壇の違いがあるといえますが、浄土真宗(西、東)ではっきりと区別されている以外、日蓮宗を含め他宗派は大体同じような装飾であるため、宗派によるお仏壇の違いは、あまりないといった方がいいかもしれません。それよりも大きな違いは、地域による違いです。
上記の写真は、「京型」と呼ばれる物で、現在、これが全国的に広く普及してきているようです。他に、「金沢壇」、「名古屋壇」などそれぞれの地域にそれぞれの型があるようです。
京都の日蓮宗では、以下の写真のような「大阪型」(通称、「法華型」)と呼ばれるお仏壇(中段にお位牌をしまい込めるようになっている)が、よく用いられていたようですが、現在、大立寺のお檀家さんのお仏壇は、ほとんど「京型」になっています。やはり地域性の重視でしょうか、理由はよく分かりません。
この地域による違いにより、若干、仏具のお祀りの仕方が変わってきます。これについては次回のコラムで説明します。
家具調仏壇(下の写真参照)は、現代建築(洋間など)に合うように作られた仏壇で、現在では様々なデザインの物が作られています。「御本尊」「仏さま」「ご先祖様」をお祀りする場所がお仏壇ですので、このようなお仏壇でも問題ありません。ただし、その性質上(コンパクト、現代的など)、「宮殿造り」という装飾が施されていない物が多いようです。
また、「仕込み仏壇(写真準備中)」といって、仏間に直接、壇を設けて(大工さんに作ってもらう)、そこに「御本尊」や仏具一式を安置するというお仏壇もあります。これは、亀岡より西の地域で多いようで、宮津市や鳥取県などで多いと聞いています。
使われる木の種類は、檜(ひのき)・桑・欅(けやき)・紫檀・黒檀など様々ですが、どの木がいいというのはありませんので、色目やお値段をみて決めて頂ければよいと思います。
■お仏壇のご給仕の仕方
まず、「仏さま」「ご先祖様」と「共にいる」という意識を持つことが大事です。これは、殺伐とした人間関係になっている現代社会において、もっとも欠けてしまった「目に見えないものを大切にする気持ち」を前提としています。
現代的な言い方をすれば、この気持ちを育むために、仏事を大切にしなければならないといっても過言ではありません。
「この気持ち」は、「敬い」「人情味」「思いやり」「優しさ」といった心の働きの「元」になる感情です。
次に、「共にいる」と思うことで、お仏壇を常々きれいにしておくことが必要になってきます。敬うべき対象がそこにおられるのに、汚しておくことは失礼にあたります。こまめに掃除をするように心がけましょう。
面白いもので、お仏壇のきれいさは、お家のきれいさと同じで、またそのご家族の心のきれいさとまで同じであるように見受けられます。心の掃除をするつもりで、お仏壇の掃除に励んで頂きたいと思います。
お線香の灰や枯葉などの大きなゴミをまず取り除いて、それからダスキンなどでから拭きすることで、小さなホコリを取り除きましょう。塗りがはげるかもしれませんので、水拭きは避けましょう。
そして、お仏壇の前で、手を合わせて、「仏さま」「日蓮聖人」に報恩感謝の念をお伝えし、「ご先祖様」へ追善供養の祈りを捧げましょう。それから「他者」の平和と安穏を祈念しましょう。
具体的には、朝夕に、ロウソクを灯して、お線香を立て、合唱礼拝して、お題目とお経をお唱え下さい。
身近なことでは、「ご飯を炊いたらまずお仏壇にお供えする。」「お菓子をもらってもまずお仏壇にお供えする。」といったことから始めましょう。
お家にお仏壇のないお孫さんなどが遊びに来られた時などに、「まずお仏壇に手を合わせておいで」というように指導されることも、大切なご給仕とお考え下さい。
■おわりに
今回は、お仏壇とはどのような物で、どのように接していけば良いのかを中心に説明しました。
次回は、このことを踏まえて、具体的に何をどこに祀るかなどを説明していきます。
※一応調べて書いておりますが、万一問題等ありましたら連絡して頂ければ幸いです。
※参考にさせていただいた本です。
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○日蓮宗について
○お坊さんの呼び方
○お線香のあげ方
○お数珠について①
○お数珠について②
○お数珠について③
○御札の祀り方
○金封(のし袋)について
○「祈り」について
○花の供養について
○お灯明について
○お経本のご紹介
○大立寺のお盆①
○大立寺のお盆②
○「お膳」について
○塔婆について
○木魚と木鉦
○お仏壇について①
○お仏壇について②
○お墓について①
○お墓について②
○布施について
○お経とは
○インド仏跡参拝紀行文(1)
○インド仏跡参拝紀行文(2)
○インド仏跡参拝紀行文(3)
○インド仏跡参拝紀行文(4)
○インド仏跡参拝紀行文(5)
○インド仏跡参拝紀行文(6)
○インド仏跡参拝紀行文(7)
○インド仏跡参拝紀行文(8)
○インド仏跡参拝紀行文(9)
○インド仏跡参拝の旅
まとめ動画
○東日本大震災第三回忌に臨んで(前編)
○東日本大震災第三回忌に臨んで(後編)
長唱山大立寺(だいりゅうじ)
〒607-8008 京都市山科区安朱東海道町56 詳しくはこちら