日蓮宗長唱山大立寺
  →大立寺へのアクセス方法はこちら
  →ホームページ更新履歴はこちら

ご訪問ありがとうございます。


「ロンドー」手を取り合って 「ロンドー」はお寺の中に作ったサークルです。たくさんの仲間達と色々なイベントや活動を行っています。 左のボタンをクリックすると活動内容がご覧になれます。

大立寺の縁起住職挨拶・略歴年間行事案内お寺の写真将来への備えコラムリンク

 

コラム


平成23年度10月作成(毎月1個更新目標!!)

○塔婆について

■はじめに

 塔婆(とうば)とは、サンスクリット語、ストゥーパ(stupa)の音訳である卒塔婆(そとうば)、卒都婆(そとば)が略されてできた言葉です。

 このストゥーパ(stupa)は、もともと仏舎利(インドのお釈迦様のご遺骨)を安置するための建築物を意味していました。つまり、お釈迦様のお墓のようなもののことでした。

 現在では、塔婆というと、お墓の後ろに立っている塔の形をした板状の木片のこと(下の写真参照)を意味する言葉として使っています。



 今月は、この板状の「塔婆」(これを特に板塔婆といいます。)について、その起源や種類にも触れながら、供養の仕方などについて説明していきたいと思います。
 


■起源と呼び方

 インドのお釈迦様が亡くなられた時、そのご遺骨(仏舎利)を8つの国に分けて、お釈迦様への報恩感謝を示すため、それぞれ塔を建てて供養したのが、板塔婆の始まりとなります。

 その塔のことをストゥーパと呼んだわけですが、この塔を建てて供養するという風習が、中国、朝鮮半島を経て、日本に伝わりました。その過程で、インドの当初の形(下の写真参照)から



多宝塔、三重塔、五重塔と姿を変えていきました。それからそれらを模して、お墓でよく目にする石塔(下の写真参照)の五輪塔が



作られ、そして更に、この五輪塔が簡略化されて作られたのが、現在の板塔婆です。

 ここで、言葉の確認をしておきますと、高くそびえ立つ建物を一般的に「塔」と呼んでいますが、元々は「卒塔婆」すなわち「ストゥーパ」が語源です。「卒塔婆」を略して「塔」と呼んでいるわけですから、元々は、多宝塔、三重塔、五重塔といった「仏塔」のみをさして「塔」と言いました。高くそびえ立つ建物を一般的に「塔」と呼ぶようになったのは後の時代になってからです。
 逆に、一般的にも使われ出したので、供養塔のことを高い建物の「塔」と区別するため、「仏塔」や「宝塔」と呼ぶようになったともいえます。

 話を元に戻して、その起源から考えますと、インドのお釈迦様のお墓も、多宝塔・五重塔も、仏式のお墓の五輪塔も、板塔婆も、本来、全てが「ストゥーパ」であり「卒塔婆」です。しかし、日本語では、お墓や五重塔などの建築物のことをさして「塔」(他と区別して「仏塔」など)と略して呼び、板塔婆のみをさして「卒塔婆」もしくは略して「塔婆」と呼ぶようになっているのが現状です。



■塔婆の形

 さて、ここからは板塔婆の説明をしていきます。

 下の写真のように、板塔婆の上の部分に左右4対の切り込みが刻まれています。この切り込みで区切られた5つの部分は、五大(仏教で、全ての物質を構成する元とされた5つの要素。地水火風空。)を表しています。五輪塔を簡略化して作られたのが板塔婆ですので、当然に、五輪塔の石もそれぞれ五大を表しています。

 

 下の長い部分が「地」を、その下から上に向かってそれぞれ切り込みで区切られた部分が「水」「火」「風」「空」を表しています。



■塔婆の種類

 「板塔婆」の他にも、現在でも「塔婆」と呼ばれている物がいくつかあります。

○「板塔婆」
 通例、「塔婆」という日本語が意味している物です。
 これについては、以下の「塔婆供養について」で詳しく説明します。

○「角塔婆」
 下の写真のように、木で出来た、先端が尖った四角柱の塔婆です。
 これは、主に日蓮聖人の遠忌法要(年回、法事のこと)や各お寺のお堂の落慶法要(完成の記念式典)の時に建てられます。



 また、墓石を建てるまでの代用として、墓石程の大きさの角塔婆を墓地に建てたりもします。

○「水塔婆(経木塔婆)」
 下の写真のように、木で出来た、薄くて小さい塔婆です。



 川施餓鬼(川や川の傍で、有縁無縁の精霊の冥福を祈って行われる法要)の際に、お題目と法号などを書いて水に流す時に用います。
 大立寺では、川施餓鬼は行っていませんが、お盆やお彼岸の施餓鬼法要の際に、檀信徒の皆様に、水塔婆の供養をして頂き、本堂にて回向をしております。



■日蓮宗の塔婆供養について

◇書き方
 日蓮宗では、塔婆の一番上に「南無妙法蓮華経」とお題目を書きます。水塔婆には「妙法」とだけ書くこともあります。他宗では、「南無阿弥陀仏」や梵字を書いたりします。

 そして次に、「○○家先祖代々之霊位」や「○○院○○信士位」などとご先祖様や故人の法号を書きます。

 続けて、「追善供養」や「報恩謝徳」など、塔婆を供養する趣旨を書きます。

 最後に、塔婆供養をされる方のお名前を書きます。これは、裏面に書かれるところもあります。また、水塔婆では、下の左脇に書きます。




◇意義
 次に、なぜ塔婆供養をするのかについてです。

①まず、「起源」でも触れましたように、お釈迦様の徳を讃え、お釈迦様に対して感謝を申し上げる方法として、塔を立てて供養するということがなされたことからも、ご先祖様や故人に塔婆を供養することは、ご先祖様や故人に対する、供養する者の「成仏を願う気持ち」「感謝の念」を表現する一番の方法であるからです。

②また、日蓮聖人は、『中興入道御消息』という御遺文の中で、

『丈六のそとば(卒塔婆)をたてゝ、其面(おもて)に南無妙法蓮華経の七字を顕してをはしませば、
 北風吹ば南海のいろくづ(魚族)、其風にあたりて大海の苦をはなれ、
 東風きたれば西山の鳥鹿、其風を身にふれて畜生道をまぬかれて都卒の内院に生れん。
 況やかのそとば(卒塔婆)に随喜をなし、手をふれ眼に見まいらせ候人類をや。
 過去の父母も彼そとば(卒塔婆)の功徳によりて、天の日月の如く浄土をてらし、孝養の人並に妻子は現世には寿を百二十年持て、後生には父母とともに霊山浄土にまいり給はん事、水すめば月うつり、つづみ(鼓)をうてばひびきのあるがごとしとをぼしめし候へ等云云。
 此より後々の御そとば(卒塔婆)にも法華経の題目を顕し給へ。』

と説かれています。すなわち、「南無妙法蓮華経」と塔婆に書いて供養すれば、ご先祖様はなおのこと、それを目にする魚や動物までもが成仏すると説かれています。

 これは、お題目「南無妙法蓮華経」が、お釈迦様がもっともお説きになりたかった最高の教えだからです。もう少し分かりやすく言うと、「南無妙法蓮華経」は、亡くなられた方への「最良のお薬」であって、感謝の気持ちを伝えるための「最高の宝物」であるからです。そのため、塔婆にお題目を書いて供養すれば、"お薬の効果で"ご先祖様は必ず成仏し、"宝物を渡すことで"亡き方々へ最も報恩感謝の気持ちを伝えることが出来るというわけです。

 したがって、ご先祖様や故人を成仏へと導く追善供養(最良のお薬)として、報恩感謝を伝えるお供え物(最高の宝物)として、お題目を書いた塔婆を供養をすることは意義深いことなのです。

③さらに、もう一つ大切な意義があります。

 上の御遺文にもあるように、ご先祖様や故人への成仏を願い(他のために)立てた塔婆のお題目は、風に乗って、それを目にする人間はなおのこと、魚や動物の成仏までも助けることになります。
 この回り回ってお題目が伝わっていく功徳は甚大です。したがって、塔婆を多く供養することは、お題目が周りに伝わっていく機会を増やすことになり、その功徳も一段と大きくなっていきます。

 そして、この機会を作ることになった塔婆供養をする者も、「他のために」した行為によって、回り回って自らも大きな功徳を積むことになるのです。
 しかし、これは結果であって、自分に良いことが起こりますようにと、それを目的として塔婆を立てることは、本末転倒ですので注意しなければなりません。必ず、初めは「利他」でなければならないのです。

 「成仏を願い立てる塔婆」が、周りの多くの"もの"をも成仏へと導き、そして、この善根の結果として、自らも功徳を積むことになる。このことも頭の片隅には置いておいて、塔婆供養をして頂ければと思います。



■いつ塔婆供養をするのかについて

 以上の説明から、塔婆供養は、いつしていただいても、大変尊いことであるといえます。
 しかし、いつでもとなると逆にしにくくなるかもしれません。年回(法事)や、春秋のお彼岸、お盆の施餓鬼法要など節目節目には、ご先祖様や故人に対し、塔婆供養をすると覚えておいていただければよいと思います。

 また、報恩感謝をお伝えする物とも説明しましたように、日蓮聖人や日像上人の御命日には、「報恩謝徳」と記す塔婆(「塔婆の形」の写真参照)を供養して頂きたいと思います。



■誰が塔婆供養をするのかについて
 
 施主(各ご先祖様や故人を主にお祀りしている方)に当たる方には、必ずして頂きたいのですが、時期と同じく、どなたが供養していただいても、大変尊いことであります。

 この施主以外の供養者を「志主」と言ったりしますが、自身のご先祖様の供養のためだけでなく、是非、どなたでも、志主として、友人やお世話になった方、さらには無縁の方に対して塔婆供養をして頂きたいと思います。



■塔婆を立てておく期間

 上述の通り、塔婆を立てておくこと自体に、お題目を様々な"もの"の目に触れさす機会を増やし、「他」を成仏へと導いていくという重要な意義がありますので、基本的に、ずっと立てておいていただいて問題ありません。

 ただし、塔婆の下の方が雨風で朽ちてしまい、書かれている字も読めない程になってきますと、下げていただく方が良いと思います。



■処分の仕方

 朽ちてきて下げる時期になったからといっても、決して墓地のゴミ箱の中に捨てるようなことはしないで下さい。

 塔婆を下げる場所が用意されている場合はそこに、用意されていない場合でも、ゴミとは別のところに置いておくようにして下さい。

 大立寺の墓地では、ゴミとは分けて回収し、お焚き上げ(お経をあげて燃やすこと)をしています。
 大立寺の墓地以外でも、檀信徒の方々がお墓に立てられていた塔婆は、大立寺で回収(持参してもらうか法事の時などに住職が回収)しお焚き上げをするようにしています。


(※)色々と調べて書いておりますが、万一問題等ありましたら連絡して頂ければ幸いです。

 


 日蓮宗小辞典  日蓮宗仏事故事便覧  岩波仏教辞典
 ※参考にさせていただいた本です。
 ↑画像をクリックすると"Amazon"のリンクに飛びます。

 Amazon.co.jp
 ↑画像をクリックすると"水塔婆"に関するリンクに飛びます。

○日蓮宗について

○お坊さんの呼び方

○お線香のあげ方

○お数珠について①

○お数珠について②

○お数珠について③

○御札の祀り方

○金封(のし袋)について

○「祈り」について

○花の供養について

○お灯明について

○お経本のご紹介

○大立寺のお盆①

○大立寺のお盆②

○「お膳」について

○塔婆について

○木魚と木鉦

○お仏壇について①

○お仏壇について②

○お墓について①

○お墓について②

○布施について

○お経とは

○インド仏跡参拝紀行文(1)

○インド仏跡参拝紀行文(2)

○インド仏跡参拝紀行文(3)

○インド仏跡参拝紀行文(4)

○インド仏跡参拝紀行文(5)

○インド仏跡参拝紀行文(6)

○インド仏跡参拝紀行文(7)

○インド仏跡参拝紀行文(8)

○インド仏跡参拝紀行文(9)

○インド仏跡参拝の旅 
 まとめ動画 


○東日本大震災第三回忌に臨んで(前編)

○東日本大震災第三回忌に臨んで(後編)
  
— 背景画像 なし —

長唱山大立寺(だいりゅうじ) 
〒607-8008 京都市山科区安朱東海道町56 詳しくはこちら

レンサバ