平成23年度9月作成(毎月1個更新目標!!)
○「お膳」について
■はじめに
先月の「お盆について②」の中で、「御仏膳」として少し触れました「お膳」について、今月は説明していきます。
「御仏膳」は、仏さま、ご先祖様にお供えするお食事だと紹介しましたが、これは少し曖昧な表現です。正確には、仏さまや菩薩さま・諸天善神等に対してお供えする「お膳」と、ご先祖様に対してお供えする「お膳」でそれぞれ、呼び方と中身が異なります。
仏さまや菩薩さま・諸天善神等に対してお供えする「お膳」は、「お精進供(しょうじんく、お生身供とも書く)」といい、生野菜や乾物(生椎茸・昆布等)などを、調理せず取れたままの状態でお供えします。お箸は添えません。
一方、ご先祖様に対してお供えする「お膳」は、「お霊供(りょうぐ、料供とも書く)」「霊供膳(りょうぐぜん)」または「ご霊膳(れいぜん)」といい、調理・味付けしてお供えします。お箸を添えます。
本来ですと、「お膳」という形で、それぞれ1つずつ用意した方が良いのかもしれませんが、大立寺では、「お精進供」はいくつかの「三方」を用いてたくさんお供えしておりますので、「お霊供」だけ「お膳」の形でお供えしています。
檀信徒の皆様にとっては、お仏壇(ご先祖様)にお供えする「お霊供」についての説明の方がイメージがしやすいと思いますので、以下「お霊供」について説明していきます。
(ちなみに、大立寺では、「お精進供」や「お霊供」という言葉はあまり用いず、たいてい「お膳」や「御仏膳」という言葉を、「お霊供」をイメージして、使っています。)
■基本
原則として精進料理です。魚や牛・豚・鳥などの肉類はお供えしてはいけません。したがって、「かまぼこ」もいけません。出汁も、「煮干し」等は使わず、「昆布」など自然のものを使って取ります。
また、「五辛」といって、臭いの強い「韮(ニラ)・蒜(ニンニク)・薑(はじかみ)・葱(ネギ)・薤(らっきょう)」もお供えしてはいけません。
お箸は、立てずに寝かせて添えておきます。ただし、亡くなられてから49日までの中陰(ちゅういん)の間だけは立てるようです。
時々、お子様に「どうして、ご先祖様は食べられないのに、お供えするの?」と聞かれることがあります。その時は、「ご先祖様は、お料理の『よい香り』を召し上がるんだよ」と答えます。目には見えませんが、ご先祖様が喜んでおられる、喜んでもらえるようにと気持ちを込めて、準備をし、お供えすることが大切です。
■お椀の種類と内容
○飯椀…ご飯
大盛りにして、上を丸くします。大立寺では、普通に盛った状態から、椀の端をコンコンと軽く叩きながら、お椀の中のご飯を回して、綺麗に丸くしています。
○汁椀…お吸い物、お味噌汁
具には、豆腐、油揚げ、ワカメなどを用います。出汁には、前述のように、昆布など自然のものを使います。
○高皿(猪口(ちょこ、いのくち))…お漬け物
白菜、キュウリなどのお漬け物・塩もみ、たくあん、ぬか漬け、梅干し等。たくあん等は2切れが原則。
※宮中流の置き方では、高皿に「酢の物」も盛り付けます。宮中流については、下記の「置き方」参照。
○平椀(平皿)…煮物
椎茸・ゆば・芋・高野豆腐・若竹・レンコン・こんにゃく・ニンジン・きぬさや・油揚げ等から3種類程。
○壺椀…煮豆、和え物(胡麻和え)、おひたし、酢の物等
小さな山になるように、たくさん、高く盛り付けます。
※蓋をする場合は、写真のように、「一番小さい蓋」を「飯椀」、「椀よりはみ出る一番大きな蓋」を「平椀」となるように被せて下さい。
■置き方
それぞれのお椀の置き方には、「小笠原流」と「宮中流」の2種類の置き方があります(他にもあるかもしれません…)。
下の写真のように、「高皿」を中央に「壺椀」を右上に置くのが「小笠原流」です。
また下の写真のように、「壺椀」を中央に「高皿」を右上に置くのが「宮中流」です。
宗派による違いは無いようですが、地域差があるようです。ちなみに、日蓮宗としては、「宮中流」が紹介されていますが、個人的には、「小笠原流」をよく見かけ、大立寺でもそうしています。
「はじめに」に書きましたように、心を込めてお供え下されば、どちらの置き方でも問題ありません。
お仏壇にお供えするときは、ご先祖様に召し上がって頂きますので、「お箸をお仏壇の方に向けて」お供えします。また、「お膳」に「家紋」が入っている場合は、「家紋が自分たちに見えるように」お供えします。
※参考にさせていただいた本です。
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↑画像をクリックすると"お仏膳"に関するリンクに飛びます。
○日蓮宗について
○お坊さんの呼び方
○お線香のあげ方
○お数珠について①
○お数珠について②
○お数珠について③
○御札の祀り方
○金封(のし袋)について
○「祈り」について
○花の供養について
○お灯明について
○お経本のご紹介
○大立寺のお盆①
○大立寺のお盆②
○「お膳」について
○塔婆について
○木魚と木鉦
○お仏壇について①
○お仏壇について②
○お墓について①
○お墓について②
○布施について
○お経とは
○インド仏跡参拝紀行文(1)
○インド仏跡参拝紀行文(2)
○インド仏跡参拝紀行文(3)
○インド仏跡参拝紀行文(4)
○インド仏跡参拝紀行文(5)
○インド仏跡参拝紀行文(6)
○インド仏跡参拝紀行文(7)
○インド仏跡参拝紀行文(8)
○インド仏跡参拝紀行文(9)
○インド仏跡参拝の旅
まとめ動画
○東日本大震災第三回忌に臨んで(前編)
○東日本大震災第三回忌に臨んで(後編)
長唱山大立寺(だいりゅうじ)
〒607-8008 京都市山科区安朱東海道町56 詳しくはこちら